パートナーインタビュー
kintoneを使って
パッケージの柔軟性が向上!
セミオーダー型 SFA
「NICE営業物語 on kintone」
- コンサルティング
- プロダクト
- 100-299名
- 中国
kintoneベースで開発された、
SFA SaaS「NICE営業物語 on kintone」を
提供する株式会社システムズナカシマ様。
自社で提供していたパッケージの商品を
kintoneに載せて拡販と開発支援を
提供されています。
その取り組みと成果についてお聞きしました。
株式会社システムズナカシマ
東京支店 システム営業 第2グループ 次長
NICE営業物語 on kintone 事業責任者
平松正光氏
ITを通じてお客様と社会へ貢献する総合インテグレーターとして、企画から提案、開発、販売、保守、運用まで、すべて一貫した幅広いサービスを提供しています。
INDEX.01 サービス紹介と開発の経緯
スモールスタートができる
kintoneに注目
まずは御社と「NICE営業物語 on kintone」について簡単にご紹介をお願いします。
平松氏
弊社はナカシマプロペラという会社の電算部門が独立してできた会社です。主な事業は、建設設備用向けのCADの開発販売や受託開発、そして「NICE営業物語」というSFAの開発・販売を行っております。
「NICE営業物語 on kintone」は2014年から展開しているkintoneで開発したSFAで、2024年で販売開始から10年目となります。ベースはkintone ですが、一般的なパッケージ製品にあるようなSFAの機能は取り揃えています。
また、カスタマイズによって、kintoneの標準機能では実現できない利用者ごとのポータルやダッシュボードなども機能としてご用意しています。
セミオーダー型サービスの「NICE営業物語 on kintone」を開発した背景を教えていただけますか?
平松氏
実は弊社では1995年から「NICE営業物語」というオリジナルのパッケージ商品の開発販売を行っていました。しかし、パッケージで柔軟性の低いSFAだったため、お客様独自の要件を満たすにはすべて開発側にてカスタマイズを行わなければなりませんでした。
また、当時SFAが今ほど浸透しておらず、案件管理の経験のないお客様も多くいらっしゃる状況でした。パッケージだと機能も豊富な分コストも高くなってしまいますし、カスタマイズを実施すると開発費用はさらに膨らみます。パッケージでは小規模な顧客や高度なSFAを必要としない顧客を拾い切れない課題感がありました。
そこで、より幅広いお客様に利用いただくために、kintone上に自社のパッケージを一から構築し、展開するというのを2014年から実施しております。
kintoneであれば機能の選択ができるため、初めから高度なSFAを必要としないお客様に対してもスモールスタートで始めていただくことができました。さらに用途が広がった際の拡張にも対応することができます。これによって、パッケージでは拾い切れなかったお客様にも提案することができるようになりました。
INDEX.02 拡販活動と成果
複数の販売網を活用
どのような拡販活動に取り組まれていますか?
平松氏
販売形態としましては、自社からの直接販売とパートナー企業経由での間接販売の両方を実施しています。
自社直販では、ホームページからの引き合い拡大のためのSEO対策の実施や、大型展示会への出展、またWeb広告などにも取り組んでいます。サイボウズのパートナーサイトからの流入もあるので、お客様の検索でヒットしやすいように掲載内容を工夫しています。さらに、IT導入補助金にも対応しておりますので、補助金を利用して幅広いお客様に届けられるような取り組みもしています。
間接販売では、パートナー企業様への勉強会の実施や案件同行はもちろん、パートナー様のフェアへ出展させていただく機会などもいただいています。こうした協業はサイボウズのCy-Musubiなどでもお声がけいただくこともあります。
「NICE営業物語 on kintone」事業は具体的にどのような成果をあげられていますか?
平松氏
売上は毎年右肩上がりに成長しており、「NICE営業物語 on kintone」の提供が軌道に乗り始めた2016年頃と比べても、5倍以上となっています。特にコロナ禍のクラウドサービスへの需要拡大により大きく伸長しました。現在では「NICE営業物語 on kintone」は自社の事業の柱の一つとなっています。
導入業種を見てみても、製造業、小売・流通業、それから建設業と一般的な業種分布と近い傾向となっており、市場の幅広いお客様に届けられていると思っています。
INDEX.03 セミオーダーのメリット
導入までの意思決定を加速できる
セミオーダー型SFAを提供するメリットはどのようなところにあると思いますか?
平松氏
たいへん多くのメリットを感じています。はじめにセミオーダー型という提供形態のメリットですが、初回の打ち合わせからお客様に運用のイメージをしていただきやすいです。
そのままのkintoneでご提案する場合、アプリの設定画面やシンプルなサンプルアプリでは、お客様の求めている業務が実現できるかどうかイメージを持ってもらいにくいこともあると思います。
セミオーダー型SFAがあることで、より具体的にサービスのご紹介や導入後の全体像をお見せすることができます。
弊社では初回商談時から、お客様の要望を元にベースとなるテンプレートを使ってお客様の業種に沿った項目・表現を変更してデモを行っています。これによってお客様に一回のデモで導入のイメージを掴んでもらえますし、お客様の導入までの決断をスピードアップできるように感じています。
そしてSFAという領域でのメリットですね。お客様のkintone導入目的として一番多いのが顧客管理や商談管理などのSFAですので、kintoneに興味を持つお客様の層と非常にマッチしているのではないかと思っています。マーケットが広いというところもこのビジネスのメリットで、営業はどこの会社にもいらっしゃるので、ターゲットとなるお客様が非常に多いです。
また、市場にはSFAを導入済みのお客様も沢山存在するので、そうした他社のSFAからの乗り換えというのも非常に多いと感じています。弊社で導入しているお客様では3割程度が他のSFAからの乗り替え案件となっております。
導入実績で他社SFAからの乗り換えが3割とのことでしたが、他社製品と比べてkintoneベースのサービスの強みはどこにあると思いますか?
平松氏
やはり多くのお客様では他社のSFAでは使いこなせていない、費用対効果が出ていないというのが一番大きな理由だと思います。営業の方にとって入力が難しく導入しても使われなかったり、パッケージのサービスにでは導入後の変更はできないといった課題はよくお伺いします。
なので導入しても使いこなせてない、費用対効果が出ていないというところで更新のタイミングで切り替えられるお客様が多いですね。
また、kintoneの場合は柔軟性が高く拡張性に優れていることが、非常に強みになっています。
お客様自身で手軽にアプリの追加や項目の変更ができますし、カスタマイズやパートナー様のプラグインなどの連携ツールを使った対応も可能なため、自社の業務に合わせた使い方ができるというところも訴求ができるポイントだと思っています。
開発会社視点でも、kintoneで開発するメリットは感じてらっしゃいますか?
平松氏
開発会社として開発の効率化という点でもメリットを感じています。kintoneの機能であるスペーステンプレートを使って、お客様に提供した設定をファイル化して展開することができますし、カスタマイズ部分を部品化・設定ファイル化として部品化することで、他のお客様への応用もスムーズに対応できるようになります。
さらに、SFAは名刺管理、MA、メール配信ツール、BIツール、基幹システムなど、幅広いサービスとの連携のご要望をいただく機会も多いですが、kintoneは連携できるサービス・ツールの幅も広く、カスタマイズご要望に応えられる製品だと思っています。今後kintoneと連携できるサービスをお持ちのパートナー企業様との協業もより積極的に活性化させていきたいです。
INDEX.04 サービス提供の苦労や課題
販路とビジネスモデルの確立
セミオーダー型ビジネスを始められた当初、 どのような問題や苦労がありましたか?
平松氏
開発当初はkintoneの標準機能を中心として、JavaScriptなどのカスタマイズもあまり実装していませんでした。複数のプランをご用意してはいましたが、非常にシンプルなものです。
パッケージサービスが元となっているので、誰でも販売できて手離れがいい商品を目指して開発していて、数を多く売って利益を出していくようなビジネスプランを検討していました。
しかしながら当時は自社の知名度やサービスの露出も十分ではなく、リードの獲得には苦労しました。間接販売も推進しようと試みましたが、当時はkintone自体の認知も低かったため、販売店も積極的には動いてはくれず、今のような協業関係を築くのには時間がかかりました。
また、受注しても導入いただいたお客様の9割以上が自社の業務に合わせたカスタマイズを希望され、当初の想定とは異なり、カスタマイズありきでの販売が中心となりました。この辺りのビジネスモデルの確立には非常に苦労しました。
平松氏
現在の「NICE営業物語 on kintone」は販売店さんの力も借りて拡販を実施しており、商談規模は数百万から数千万円まで幅広い案件を対応しています。導入したお客様に関しては継続的なカスタマイズのご依頼をいただくなど、SFAをきっかけにkintoneが他の部署利用にも展開が進むようになっていきます。
現在はパッケージ売りというよりは、ベースのテンプレートを元に開発(カスタマイズ)と合わせて売上を伸ばしていくようなモデル(セミオーダー型)を確立できています。
現在の事業の課題はありますか?
平松氏
現在困っていることとしてはどこのパートナー様も同じかもしれませんが、リソース不足というのがあります。案件や活動はまだまだ増やしていきたいのですが、営業・開発含めてちょっと人員が足りないというところが課題です。
サービスの拡販や開発にご協力いただけるパートナー様がいらっしゃいましたら募集しておりますので是非お声がけください。
INDEX.05 今後の展望
自社セミオーダーを基盤に新たな領域へ
今後の「NICE営業物語 on kintone」の展望や取り組みについてお聞かせください
平松氏
「NICE営業物語 on kintone」は毎年バージョンアップをしております。アップデートではこれまでのお客様のご要望を反映するのはもちろん、その年のトレンドを盛り込むようにしています。
最近であれば、自社で提供しているAIサービスの「AIntone+」や、画像認識サービスの「roboflow」とも連携予定となっています。(2024年11月現在 連携済み)
また、「NICE営業物語 on kintone」でオプションとして提供していた機能をプラグイン化し、単体で提供できるように進めています。さらにこれまでのkintoneの提供により、SFA以外の業務やセミオーダーサービスの提供ノウハウが溜まってきているので、人事管理や会員管理など、他領域のセミオーダーサービスの展開も順次行っていきたいと考えています。
最後にこれからセミオーダーの提供を検討されている企業に向けて一言お願いします。
平松氏
弊社ではもともとパッケージのSFAを提供していたので、自社に提案や開発ノウハウがあるというところが最大の強みだったと思います。「NICE営業物語on kintone」そのものにも、これまでの提供のノウハウが詰まっていますし、提案の際にも、お客様がSFAで気にされる点や業界でよく使う言葉を使ったりすることで、かなりお客様に強く訴求できたと感じています。
これからセミオーダーサービスの提供を検討されるのであれば、やはり自社の知見やノウハウを活かせる領域を選択するのが良いと思います。
※ 本記事は、パートナーミーティング2024分科会の内容をもとに執筆しております。
取材・執筆:寺岸 成美
取材日 : 2024年6月14日