パートナーインタビュー

kintone 技術者不足を解決!開発未経験者を即戦力に大化けさせる秘訣とは?
前編

  • コンサルティング
  • プロダクト
  • 50-99名
  • 関東

kintoneビジネスで数多くの実績を誇るシステム・リノベイト社。
実は、エンジニアの75% が未経験で入社されています。
そんなシステム・リノベイト社に、未経験者を採用・育成する秘訣について伺いました。
その中で見えてきたポイントは、次の 3 つです。

1. スキルよりも人物重視
会社方針とのマッチが、モチベーションの向上と成果に直結!
2. 標準機能よりJSカスタマイズ重視の研修
実際の案件をケーススタディとして学ぶことで、実践力を養う!
3. 1.5カ月後には初級〜中級レベルの開発案件をメインで対応可能に!

株式会社システム・リノベイト

ソリューション事業部
事業部長

近藤正樹

kintoneビジネスの責任者

ソリューション事業部
グループリーダー

窪田亮一

kintone研修の講師

長年のグループウェア事業で培った経験を基に、サイボウズ製品の導入から運用まで一貫して支援しています。

INDEX.01

事業内容と企業理念

まずは御社のご紹介をお願いします。

近藤

弊社の本社は東京の池袋にあり、大阪支店・福岡支店の3 拠点を展開しています。

2013年に設立し、kintoneビジネスには 2019 年に参入しました。

弊社の主な事業内容は、「DXソリューション」「Web系・C/Sソリューション」「スマートデバイス」の3つです。

DXソリューション事業としては、kintoneをはじめ、Office 365やNotesなど、さまざまな製品の提案・導入を行っています。

kintoneに関しては、「伴走型支援」「トレーニング」「システム構築」「ラボ型支援」の4つのサービスを展開しており、システムの構築を請け負うものから、エンドユーザー様と共に開発を進める支援まで、幅広いニーズに対応しています。

社員数は73名で、エンジニアのうち75%が未経験者と、若手や未経験者が比較的多い会社です。

また、弊社はあらゆる業務において経営理念を非常に重視しているため、少しお話しさせていただきます。経営理念として、「ITサービス業のプロとして、お客様に最適なソリューションと新しい価値を提供する」ことを掲げており、あえて「サービス業」という言葉を使用しています。

IT 業界は、パソコンに向かってひたすら作業をするイメージを持たれがちですが、実際には、お客様の要望を聞き、社員同士でコミュニケーションをとりながらシステムを作り上げていく必要がございます。

そのため、「人と人とのつながり」を大切にするという思いを込めて、「サービス」という言葉を意識的に使っています。

また、行動指針のひとつとして、「お客様の立場になって考え、Win-Winの関係を築くために誠意をもって取り組む」ことを掲げています。

このように、弊社は「お客様が本当に求めているものを提供する」こと、そしてそのために「誠意をもって取り組む」ことを、何よりも大切だと考えています。

INDEX.02

理念とマッチした人物重視の採用

エンジニア未経験者が75 %とのことですが、未経験者の採用は当初から実施されていたのでしょうか?また、なぜ未経験者を積極的に採用されるのでしょうか?

近藤

過去には、「会社としてできることを増やしていきたい」という思いから、経験者の採用に力を入れていた時期もありました。

しかし、会社の方針とのギャップが生じ、社員のモチベーションが低下してしまうことが多くありました。

先ほど少しお話しさせていただきましたが、

弊社では経営理念として「お客様の立場になって考え、Win-Winの関係を築くために誠意を持って取り組む」という方針を掲げております。いくら技術に優れていても、「お客様に満足いただきたい」という気持ちがなければ務まらない仕事が多くあります。

お客様に満足いただくためには、お客様の求めていることを理解し、それを形にすることが必要です。そのためには単なる技術力だけでは足りず、人物面が非常に重要だと考えています。そこで弊社では、技術面よりも人物面を重視した採用を行っています。未経験者採用の主な目的は「会社方針とのマッチング」重視の採用であり、加えて人材を容易に確保できるというメリットもございます。

プログラミングの経験が一切無くてもエントリーできるのでしょうか?

窪田

経験が全くなくてもエントリー可能です。エンジニアの採用に際して、エントリーシートに過去の開発経験を書かせ、技術面接でコードを書く能力をチェックする企業も多いですが、弊社ではそのようなことは実施していません。そのため、新卒の文系出身者や他業種からの転職者も多くいます。私もその一人です!

面接で技術的なことを問わないとのことですが、どういった点を意識して採用されるのでしょうか?

近藤

弊社の選考は、書類選考 → 1次面接 → 2次(最終)面接の流れで実施しています。

1次面接時に基本的な算数問題を15分実施いただきますが、その他は人物面を問うような質問をしています。その面接の中では「相手の意図や相手の目線でのコミュニケーション能力」「個人視点ではなく、チームで考える思考」「”プログラミング言語をやりたい”よりも”世の中を便利にしたい”という気持ち」という3つの点を特に重視しています。

INDEX.03

JS カスタマイズメインの研修

研修はどのような内容・スケジュールで実施されているのでしょうか?

窪田

入社後の全体研修とは別に、案件対応前に1ヶ月半かけてkintoneの研修を実施しています。

最初の2週間は、標準機能でできることをテキストベースのインプットや実際にアプリを操作しながら学び、その後はすぐに実際の案件で発生した JS カスタマイズの課題に取り組みます。最終週には案件への参加に向けてプラグインの研修を実施し、研修開始5〜6週間後には実際の案件に取り組んでいきます。

研修のスケジュール

JS カスタマイズを含めた学習を長めに取られているのですね。

窪田

そうですね、弊社では標準機能の学習はサラッと済ませ、ほとんどの時間をJSカスタマイズ課題に使っています。

実は3年前までは、標準機能でできることをしっかり理解できるまで学習させ、その後の余った時間でカスタマイズを少し実施するようにしていました。しかし、最近研修のスケジュールを大きく変更することにしました。

これまでのやり方では、標準機能でできることは理解できても、実際にどう使われるのかが分かりづらいという課題がありました。そこで、実際の案件で発生したケーススタディを課題として JS カスタマイズに取り組ませながら、あわせて kintone の設計思想も学ばせるようにしました。

具体的にどのように研修を進められているのでしょうか?

窪田

教育研修用のアプリを kintone で作成し、そちらに課題を格納、進捗の確認やフィードバックを行なっています。

課題ごとにレコードでまとめており、合計40レコードほどございます。

こちらを1ヶ月ちょっとで進めていきます。

実際に研修で使用されているオンボーディング用のアプリ

窪田

JSカスタマイズなどは、カスタマイズ課題用のアプリテンプレートファイルをレコード内に添付しており、そのアプリテンプレートを自分の開発用kintone環境に取り込んで実施してもらいます。

カスタマイズ課題レコード

自分の開発用 kintone 環境に読み込んだ課題実装アプリ

窪田

課題用のレコードにプログラムファイルを添付し、講師にてレビュー。

指摘があればコメントをして、実装内容を修正してもらいます。

講師コメント

窪田

最後に模範解答をアプリで確認して、さらに理解を深めてもらいます。

模範解答が実装されている課題アプリスペース

研修後はどの程度のレベルに到達しているのでしょうか?

窪田

先輩のフォローを受けながら、初級~中級レベルの開発作業ができる程度かなと思います。

弊社では研修のゴールとして、以下のスキルを習得することと設定しています。

  • ・JSカスタマイズ
  • ・主要プラグイン(※1)を利用した開発
  • ・単体テスト実施

※1:主要プラグインについては、以下が主な対象

  • ・krewData/krewSheet
  • ・FormBridge/kViewer
  • ・PrintCreator/レポトン

INDEX.04

実践を通して学ばせる

kintone 研修から約 5 週間後とかなり早い段階で案件にも入られるとのことですが、すぐに実践するのは難しくないのでしょうか?

近藤

新入社員には、実践を通して技術を身につけてほしいと考えています。

そのため、早い段階で案件に取り組ませる方針を取っていますが、過去にはいくつかの課題がありました。

従来、SEがお客様対応を担当し、PG(開発者)は開発に専念できるように役割を明確に分ける体制を取っており、期待するSEには積極的にお客様対応を任せていました。

しかしその結果、未経験の新人やPGからSEに転向したメンバーは、お客様との打ち合わせに参加した経験がなく、誰かがスピーカーを務める場面を見たことがない状態で、個人の工夫に頼らざるを得ない状況に陥っていました。

その影響で、先輩社員の経験が後輩に引き継がれず、打ち合わせで話すことに対するハードルを感じる社員も少なくないという問題が生じていました。

そこで、PGも打ち合わせに参加し、チームで案件対応を進める体制に変更しました。また、新人には打ち合わせの一部から少しずつ話す機会を設けるようにしました。

先輩社員同席のもと段階的に経験を積ませ、都度ふりかえりを実施し改善させることで、不安の軽減や個人のスキルに頼る案件対応の解消、スキルアップに努めています。

案件対応後、どのような点を意識した振り返り(フィードバック)を行っているのでしょうか?

窪田

お客様の立場になった話し方や説明、使い方ができているかどうか」を特に意識しています。

特に、SEのような技術職の人間は、自分では意識せずに専門的で難しい言葉を使ってしまいがちです。お客様との会話で、そういった点が出てしまうことが多々あります。

そういったことは自分では気づかないことも多いため、しっかりフィードバックを行うようにしています。

お客様対応における小さな心がけが、お客様と弊社の信頼関係の構築にもつながっていると考えています。

INDEX.05

全国展開とビジネスの拡大

今後の貴社の展望や取り組みについて教えてください

近藤

2つあります。

1つ目は、「kintoneビジネスの全国展開」です。

kintoneはクラウド製品であるため、現時点でも地方のお客様に対応できていますが、今後はさらに拠点を増やし、地域のお客様との接点を強化していきたいと考えています。また、地方市場でのブランド力向上にも取り組んでいきたいと考えています。

2つ目は、これまでの知見を活かし、「kintoneビジネスにおける活動の幅を広げる」ことです。

kintoneビジネス参入以来、コンサルティングパートナーとして、伴走支援やトレーニングなどを提供してきました。

その中で得た「お客様がkintoneに求めていること」をより実現させるため、昨年から自社でプラグインの開発・拡販への取り組みを開始しました。

第一弾として、最近サイドバープラグインをリリースしました。

kintoneのレコードに紐づいた詳細な情報を1画面で同時に確認できたら、業務がもっと捗るのではないかと考えるようになったのが開発のきっかけです。

この製品では、レコードの情報を見ながら、添付ファイルを確認したい」「レコードを新規作成・更新したい」「レコードに記載されたリンク先を確認したい」「レコードに記載された住所から地図を確認したい」といった、細かなニーズに対応できるようになっています。

こういったプロダクト開発、拡販という新しい領域でもkintoneの利便性をさらに高め、多くのお客様により良い体験を提供していきたいと考えています。

サイドバープラグイン

※本記事は、パートナーミーティング2024分科会の内容をもとに執筆しております。

取材・執筆 : 久保 光穂

取材日 : 2024年6月14日

株式会社システム・リノベイト

2019年にサイボウズコンサルティングパートナーとして加入。以来、「伴走型支援」「トレーニング」「システム構築」「ラボ型支援」の4つのkintoneサービスを展開。
2022年以降には、CyPN Report(※2)のインテグレーション部門で2つ星を獲得。
また、kintoneの提案・開発・教育を通じて培ったノウハウを活かし、自社オリジナルのプラグインを開発。近年はプラグインの販売にも注力している。
※2:オフィシャルパートナーの過去1年間の活動実績をもとに、
サイボウズが高く評価したパートナーに星を付与する制度

SYSTEM RENOVATE
REGISTEREDREGISTERED REGISTEREDREGISTERED

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