
パートナーインタビュー
AI で切り拓く!kintoneビジネスの新時代へ
後編:ぶっちゃけディスカッション
- プロダクト
- コンサルティング
- 50-99名
- 50名以下
- 関東

2022年にChat GPTが公開されて以降、
AIは私たちの生活にとって身近なものになりつつあります。
今回はkintone × AIのサービスを先駆けてリリースされている2社のお話を伺いました。
前編では各社のサービスや事例をご紹介しましたが、
今回の後編ではお二方が感じているkintone × AIビジネスの実情について、
ぶっちゃけトークでお届けします。

株式会社ショーケース
SaaS事業本部
LLM Labs マネージャー
中野和俊氏
技術マネージャーとして「Associate AI Hub for kintone」などのサービス開発の責任者を担っている

kintoneと連携可能なソリューションである「おもてなしSuite」などの自社サービスを開発販売するIT企業。
自社サービスを用いたインテグレーション事業も行う。

株式会社ゼンク
代表取締役
増田芳憲氏
2005年に株式会社ゼンクを立ち上げ自ら営業や提案なども担当している

ITシステムやソフトウェアの企画や設計、開発、保守等を実施するSIer。
近年はAI事業にも力を入れている。
INDEX.01 kintone × AIビジネスを始めたきっかけは?
立ち上げ背景や必要な知見
まずは、kintone × AIのビジネスを始めたきっかけを教えてください。また、元々社内にAIの知見はあったのでしょうか?

ショーケース中野氏
弊社がサイボウズのパートナープログラムに加入したのは2022年でした。ちょうどその頃Chat GPTが出始めていたので、AIの知見をもつメンバーが集まり、自社はどうしていこうかと話し合ったのがきっかけでした。
プロダクトパートナーになったこともあり、kintoneとAIで何か新しいことをやりたいと思い、自社だけで考えていても埒があかないのでサイボウズさんに相談しました。結果として2023年の5月頃には開発を開始し、11月のCybozu Daysに「Associate AI Hub for kintone」を出展することができました。
サイボウズさんとしても、パートナー企業によるAIサービスのリリースを期待されています。サイボウズさんやエコシステム内のパートナー同士で会話していくことによって、自社の方向性が見えてくるのではないかと思います。
AIで何かやろうとなった時に、kintoneを選んでいただいたのは非常に嬉しく思います!続いて増田さん、いかがでしょうか?

ゼンク増田氏
弊社の場合、2022年頃から「なんちゃってAI」のようなものを、NTTさんの特許を解放していただいてリコメンドのシステムを開発していました。その後、ROX社からAI事業を譲り受けたことが大きな転換期となります。
弊社エンジニアには、新たにAI事業に必要な知見を身につけてもらいました。AI事業には、「データをどう見るか」というデータ分析のスキルや、システム連携についてのキャッチアップが重要だと思ったのです。我々の場合、データ分析の元となるデータをkintoneに蓄積している形です。
INDEX.02 ぶっちゃけ kintoneとAIの相性は?
蓄積されたデータは相性抜群!
ぶっちゃけAIとkintoneの相性はどうでしょうか?

ショーケース中野氏
相性はめちゃくちゃ良いと思っています。AIは、AIのモデルだけがあっても全然役に立たなくて、あくまでもデータがしっかり揃っていることが大切です。kintoneを利用されているお客様は、すでにアプリの中に多くのデータが蓄積されている、あるいはこれから蓄積できる、というところで、非常に相性が良いと思っています。

ゼンク増田氏
我々のAIは、kintoneに蓄積されたデータを元にした時系列データの予測に強みがあるのですが、中野さんのおっしゃる通り相性抜群だと思っています。
最近のトレンドである生成AIなども、kintoneとの相性に影響してくるのでしょうか?

ショーケース中野氏
そうですね。前提として、データには、構造化された「定型データ」と非構造化された「非定型データ」の2種類があります。
「定型データ」は、kintoneでいうところの表形式のようなデータです。これらは、昔から機械学習や深層学習等で、扱いやすいデータとされてきました。一方、「非定型データ」はべた打ちのテキスト、画像、音声、動画など、形式が決まっていないデータのことを指します。こちらは中々扱いづらいという問題がありました。
しかし、生成AIの登場により、これらの「非定型データ」もマルチモーダルを利用して変換して扱えるようになり、定型データと同様に扱いやすくなりました。kintoneとの相性もさらに良くなったと思います。
逆に kintoneとAIで相性が悪いと感じることはありますか?

ゼンク増田氏
強いて言うならば、大量データのやり取りです。弊社のAIエンジンの建て付け上、一時的に大量データをやり取りすることになります。今回のお客様(前編参照)も、データ上限値が超えてしまい、元データをDWH上に置くといった話も出たりしました。
今後、kintone内で大量データを管理・分析できるようになると嬉しいですが、基本的には相性バッチリかなと思っています。
INDEX.03 この先 AI ビジネスでイメージしている展開は?
新機能や事例の横展開
この先どのようなビジネス展開をイメージしていますか?
展開にあたってご不安や懸念事項はありますか?

ゼンク増田氏
私自身、提案現場ではまだまだ「AI大丈夫なのか?」「本当にAIでできるのか?」というお声をいただくことも多いです。AIありきで提案しに行ってしまうと、正直門前払いのようなリアクションをいただくこともあります。
私の場合は敢えてAIというワードを出さずに「(売上等を)予測したくないですか?」と聞いています。そうすると「予測したくありません」というお客様はなかなかいらっしゃらないです。まずは敷居を下げてご説明するよう心がけています。
結果的にAIの技術をお客様がDXという形で活用いただけるよう、弊社としても頑張っていきたいです。
INDEX.04 kintone×AIでサイボウズに期待していることは?
大企業導入・潮流を作る
kintone×AIを広げていくにあたり、kintoneの本体機能やビジネス施策でサイボウズに期待していることはありますか?

ショーケース中野氏
やはりエンタープライズ企業へのkintone導入を推進していただきたいです。というのも、様々な調査結果からもAIは大企業の方が進んでいますし、DXに関する予算も持っていらっしゃるケースが多いです。どうしてもAIを絡めると、予算がそれなりに必要になってくることもあります。
このあたりはまさに、新しくリリースされたkintoneの大企業向けワイドコースとも上手く連動しながらシナジーを出していきたいと思っています。

ゼンク増田氏
私は引き続きプロモーションに期待しています。お客様先に訪問すると、ご担当の方と一通りお話した後、後から社長様が出てこられるというのは良くあるパターンなのですが、やはりサイボウズさんの CM 効果は絶大です。「ああ、あのCMやってるやつね」ということで話がどんどん進むことも多く、非常にありがたいです。
また、先ほどお伝えしたように、AIの敷居を下げて気軽に皆さんが使えるようになって欲しいと思っています。「いつの間にか自分たちが使っていたものが、実はAIでした」というように。メーカーであるサイボウズさんがこういった潮流を作っていただけると、パートナーとしてもそこに帆を立てて進んでいけるなと思っています。
INDEX.05 最後にメッセージ
エコシステム全体でkintone × AIを盛り上げたい
最後にパートナー様へのメッセージをお願いします。


ショーケース中野氏
kintoneは、誰でもノーコードでアプリを作れるのが最大の特徴かと思います。我々ショーケースが提供するAssociate AI Hub for kintoneでは、さらにその先へ一歩進めていきたいなと考えています。どういうことかというと、カスタマイズも誰でもできる。そういうことを目指していきたいと思っています。
これを実現するには弊社だけではなく、パートナーの皆さま、そしてサイボウズさんも含めてエコシステム全体でkintoneのお客様にAIを届けていきたいと思っています。是非一緒に頑張りましょう。
お二人とも本日はありがとうございました!今後もkintone × AIを一緒に盛り上げていただけると嬉しいです!
※本記事は、パートナーミーティング2024分科会の内容をもとに執筆しております。
取材・執筆 : 佐藤 太嗣、中江 麻未
取材日 : 2024年6月14日
株式会社ショーケース
2022年サイボウズパートナーに加入。「おもてなしテクノロジーで人を幸せに」をコアバリューとして「おもてなし Suite DX」といったkintoneと連携可能なフォームをノーコードで設計できるForm Creatorやkintoneのデータをマイページの形式で外部にウェブページとして公開できるViewerなどのSaaS事業を展開している。
近年ではAI事業を進める組織を作り2023年に「Associate AI Hub for kintone」をリリースするなどAI事業に力を入れている。

株式会社ゼンク
2017年サイボウズパートナーに加入。ホームページの企画・作成・運用に関する業務やITシステムの企画・設計・構築・導入・運用に関する業務 / ソフトウェアの設計・開発を中心に事業を展開している。
また、2022年に株式会社ROX社よりAI事業を譲受し近年ではAI関連事業(データ分析、需要予測AI開発、AI連携、AI活用、AI導入支援など)にも力を入れ、既存事業との相乗効果を生み出す取り組みを実施している。
代表はOSSコンソーシアムの活動をライフワークにしている。
